山本第三病院のリハビリテーション科では、言語聴覚士が脳損傷による言語障害に対してことばのリハビリを行っています。脳損傷による言語障害は失語症と運動障害性構音障害に大きくわけられます。失語症になると「話ことば」だけではなく、ことばに関わるすべての作業が障害されます。
例えば、AさんとBさんが旅行の計画をたてています。二人は旅行雑誌をもとに、行きたい場所を選び、日程を話し合い、予算を計算します。この中でもことばに関わる作業はたくさん行われています。まず旅行雑誌から場所・日程を読み取る「読む」作業、二人で話しあう「話す」「聞く」作業、日程を「書く」作業、予算を「計算」する作業が含まれています。
つまり、このような聞く、話す、読む、書く計算のすべての能力に程度の差はありますが障害されます。一方、運動障害性構音障害は声帯や唇、舌、顎など言葉を話すときに使う器官の筋肉がうまく働かないためにおこります。いわゆるろれつが回らない状態での「話しことば」の障害です。
言葉を話し時に使われる器官は飲んだり食べたりするときにも使われるために、運動障害性構音障害になると食べること飲み込むことにも障害が出る場合があります。このような状態を摂食・嚥下障害といいます。リハビリでは、ことばという手段をうまく使えなくなった患者様に対して、ことばだけではなく、ことば以外の手段、例えばジェスチャーや絵を一緒に使うなどの工夫をして患者様とやりとりをします。
現在3人の言語聴覚士が協力し、リハビリを通して患者様が今後の生活や人生を楽しんで送ることができるように取り組んでいます。 |